レストアの錆の直し方|錆取り・錆止め・錆転換剤の使い分け

レストアの錆の直し方を紹介する記事のアイキャッチ。古い車のフェンダーの錆を落としている手元

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古い車のフェンダーの縁やトランクの底に、茶色い錆が広がっているのを見つけると、気持ちが沈みますよね。『どの薬剤を買えばいいの?』と迷う方も多いはずです。

結論から言うと、レストアの錆は「どこまで進んでいるか」で直し方と使う物が決まります。表面だけなら自分でも直せますし、穴があいていれば板金の出番です。

この記事では、錆の進み具合ごとの直し方と、錆止め・錆転換剤の使い分けをお伝えしますね。

目次

レストアの錆は3段階で見ると迷わない

先に結論

錆は「表面錆」「浮き錆」「穴あき」の3段階に分けて考えます。段階が進むほど、削る量も手間も増えます。薬剤選びより先に、今どの段階かを見極めるのが近道です。

錆と一口に言っても、塗装の上にうっすら出た物から、鉄板が抜けてしまった物まであります。同じ錆止めを塗っても、段階が違えば結果はまるで違うんです。

そこで、この記事では錆を3つの段階に分けてみました。ご自分の車の錆がどれに当たるか、見比べてみてください。

段階見た目の目安主な直し方使う物の例自分でやるなら
表面錆塗装の傷や縁に、うっすら茶色い錆が出ている錆を落として錆止め、塗り直し紙やすり、ワイヤーブラシ、錆止め塗料取り組みやすい
浮き錆塗装の下で錆が広がり、塗膜がふくらむ・はがれる塗膜ごと錆を削り、地金を出して処理電動工具、錆取り剤、錆転換剤、下塗り範囲が狭ければ挑戦できる
穴あき鉄板が薄くなり、押すとへこむ・穴があく錆びた部分を切り取り、新しい鉄板を溶接切断・溶接の道具、補修用の鉄板板金の経験と設備が要る
レストアの錆を表面錆・浮き錆・穴あきの3段階に分け、それぞれの直し方を並べた図解

見た目より錆が深いこともある

浮き錆は、外から見える範囲より、塗装の下で広がっていることがよくあります。小さなふくらみを削ってみたら、思ったより広かったという話は珍しくありません。

ですから、まずは軽く削ってみて、錆がどこまで続いているかを確かめるのがおすすめです。

錆が出やすい場所を先に見ておく

錆は、水がたまりやすく乾きにくい所から出てきます。点検する時は、次のような場所を順に見てみてください。

錆を探す時に見る所
  • フェンダーの縁やホイールハウスの内側
  • ドアの下の部分と、その内側の水抜き穴のまわり
  • トランクの底やスペアタイヤの置き場
  • フロアの裏や、敷物の下にあたる床面
  • 窓のゴムやモールのまわり

窓まわりのゴムが傷んでいると、雨水が中に回って錆の原因になります。ゴム部品の直し方はゴム部品・モールのレストアで紹介しています。

サビ取りの方法を比べてみる

ここでの結論

サビ取りは「手で削る」「電動工具で削る」「薬剤で落とす」「専門店のブラストに出す」の4つが基本です。錆の範囲と、部品を外せるかどうかで選びます。

レストアのサビ取りといっても、やり方はいろいろあります。『結局どれがいいの?』と聞かれることが多いのですが、実は場面によって向き不向きがあるんです。

方法向いている場面気をつけたいこと
紙やすり・ワイヤーブラシで手作業表面錆、小さな範囲、細かい部品時間がかかる。深い錆は落としきれない
電動工具(サンダー・カップブラシ)広い面の浮き錆、塗膜ごとはがしたい所削りすぎて鉄板を薄くしない。粉じんが出る
錆取り剤に漬ける・塗る外せる小物、ボルト、入り組んだ形の部品製品の注意書きを守る。処理後はすぐ錆止めを
専門店のブラスト処理ボディや足回りの部品をまとめてきれいにしたい部品を外して持ち込む。薄い板は歪むことも
錆が残った部分と錆を落とした部分を見比べられる、古い車の鉄板の写真

手作業と電動工具の使い分け

表面錆なら、紙やすりやワイヤーブラシで十分なことが多いです。粗い番手で錆を落としてから、細かい番手で表面をならしていきます。

広い面の浮き錆は、電動工具のほうが早く進みます。ただ、勢いで削りすぎると鉄板が薄くなるので、少しずつ様子を見ながら進めましょう。

錆取り剤は「外せる部品」と相性がいい

ボルトやブラケットのような小物は、錆取り剤に漬けて落とす方法がよく使われます。入り組んだ形でも、液が届く所なら錆が落ちやすいんです。

ただし、錆取り剤で落とした直後の鉄は、むき出しで錆びやすい状態です。水洗いや乾燥のしかたは製品ごとに違うので、説明書どおりに進めてみてください。

よくある失敗

錆を落としたあと、その日のうちに錆止めをせず置いておくと、翌日には表面がうっすら茶色くなっていることがあります。落としたら早めに次の工程へ進みましょう。

ブラストは専門店に頼むことが多い

細かい砂などを吹き付けて錆や塗膜を落とすブラスト処理は、設備が要るので専門の業者に頼むことがほとんどです。ボディをまるごと処理する場合は、レストアを扱う板金店に相談してみてください。

錆止めと錆転換剤はどう使い分ける?

ここでの結論

錆止めは「きれいにした鉄を錆から守る物」、錆転換剤は「落としきれない錆を安定させる物」と考えると分かりやすいです。どちらも、上から塗装して仕上げるのが基本です。

レストアの錆止めを買いに行くと、似たような缶がたくさん並んでいますよね。『錆止めと錆転換剤、どっちを買えばいいの?』という声もよく聞きます。

ここでは、よく使われる物を役割で分けてみました。製品によって性質は違うので、最後はラベルの説明で確かめてください。

種類主な役割塗る前の状態向いている場面
錆止め塗料(下塗り)鉄の表面に膜を作り、水や空気を防ぐ錆を落として地金を出し、脱脂した面錆をきれいに落とせた所
錆転換剤残った錆に反応させ、安定した状態に変えると説明されることが多い浮いた錆を落とし、薄い錆が残っている面奥まった所など、錆を落としきれない所
防錆剤(スプレー・ワックス系)すき間や袋状の部分に入り込んで錆を防ぐ乾いた状態で、仕上げのあとドアの内側やフレームの中など
錆止め塗料が向く時
  • 錆をしっかり落として地金が出ている
  • 上から塗装して仕上げる予定がある
  • 平らで作業しやすい面
錆転換剤を考えたい時
  • 奥まっていて錆を落としきれない
  • 削りすぎると鉄板が薄くなりそう
  • 細かい凹凸に錆が残っている

錆転換剤は「錆の上に塗る物」

レストアで錆転換剤を使う時は、浮いている錆やはがれかけた塗膜は先に落としておきます。ぼろぼろの錆の上に塗っても、下からはがれてしまうからです。

上塗りまで何時間あけるかは、製品ごとに決められています。表示の時間を待ってから次へ進むのが、仕上がりを長持ちさせるコツです。

錆止めは薄く何回かに分けて塗る

錆止めを一度に厚く塗ると、垂れたり、乾くまでに時間がかかったりします。薄く塗って乾かし、もう一度重ねるほうが、きれいに仕上がりやすいんです。

スプレーなら、近づけすぎず、少し離して何回かに分けて吹き付けてみてください。塗り重ねる間隔も、缶の表示を目安にしましょう。

「早く終わらせたいから、厚めに一回で塗っちゃおう」
「垂れると削り直しになるので、薄く2回のほうが結局早いですよ」

防錆剤は仕上げのあとに

ドアの内側やフレームの袋状の部分は、塗装が届きにくい場所です。こうした所には、すき間に入り込むタイプの防錆剤を吹き付けておく方法があります。

水抜き穴をふさがないように気をつけておきましょう。水の逃げ道がなくなると、かえって錆の原因になってしまいます。

自分でやる錆の処理の手順と、板金に任せる目安

ここでの結論

錆の処理は「洗う、錆を落とす、脱脂する、錆止め、下地、塗装」の順番が基本です。どこか1つでも飛ばすと、塗った物がはがれたり、錆が戻ったりしやすくなります。

表面錆から浮き錆くらいまでなら、自分で錆の処理に挑戦する人もたくさんいます。手順を一度通して見ておきましょう。

錆の処理の流れ
  1. 車を洗って泥や油汚れを落とし、よく乾かす
  2. 錆の範囲を確かめ、まわりをマスキングする
  3. 紙やすりや電動工具で錆と傷んだ塗膜を落とす
  4. 脱脂剤で油分をふき取る
  5. 錆止め塗料、または錆転換剤を塗って乾かす
  6. 下地の塗料を塗り、表面をならしてから塗装する
錆の処理を、洗浄から塗装までの順番で並べた図解

脱脂は手を抜かない

錆を落としたあとの表面には、手の脂や削りかすが残っています。ここで脱脂をしておかないと、錆止めがしっかり付かないんです。

素手で触ったら、もう一度ふき取るくらいの気持ちで進めてみてください。

塗装まで一気に進めなくてもいい

錆止めを塗った状態なら、しばらく置いておくこともできます。ボディ全体の塗装を考えている場合は、錆の処理だけ先に済ませておく人もいます。

全体の色を塗り直すかどうかは、全塗装(オールペン)とレストアを読んでから決めても遅くありません。

道具は少しずつそろえれば大丈夫

最初から全部そろえなくても、紙やすり、ワイヤーブラシ、脱脂剤、錆止め塗料があれば、小さな錆から始められます。電動工具や保護具は、範囲が広がってきたら考えましょう。

道具をそろえる順番は、レストアの工具・道具|そろえる順番と選び方でくわしく紹介しています。

穴があいた錆は板金に任せる

押すとへこむ、穴があいている、フレームまわりが錆びている。

こうした時は、錆止めで止める段階を過ぎています。錆びた部分を切り取って新しい鉄板を溶接する、板金の作業になります。

ここが大事なところです。穴あきまで進んだ錆は、上からパテや錆止めでふさいでも、中で錆が進み続けることが多いんです。

例えば、フロアの錆を削っていたら下が見えてしまった、という場合を考えてみてください。この時点で、錆の処理から板金の作業に切り替わります。

状態自分で進めやすいか考えたい頼み先
表面錆が点々と出ている進めやすい自分で処理、または塗装店
浮き錆が手のひらくらい広がっている範囲しだい自分で処理、広ければ板金店
鉄板に穴があいている溶接の経験と設備が要る板金店、レストアを扱う店
フレームや足回りの取り付け部が錆びている自分では判断しにくい板金店や整備工場で診てもらう
走る安全に関わる所は無理をしない

足回りの取り付け部やフレームの錆は、走る安全に直結します。自信が無ければ、板金店や整備工場で診てもらってください。

穴あきの直し方は、ボディのレストア|板金と錆の直し方の基本で、へこみや腐りとあわせて紹介しています。

作業する時の安全も忘れずに

錆を削る時は細かい粉が舞いますし、塗料やスプレーには燃えやすい成分が入っています。消費者庁も、スプレー缶は十分に換気し、火気の近くで使わないよう呼びかけています。

錆の作業の前に確かめたいこと
  • 窓を開けるなど、換気ができる場所か
  • 保護めがね、マスク、手袋を用意したか
  • まわりに火の気がないか
  • 使い終わったスプレー缶や塗料の捨て方を自治体の案内で確かめたか

溶接や研磨で出る粉じんや、塗料・溶剤の扱いについては、レストア作業の安全にまとめています。

錆の処理でよくある相談

この章について

ネットの質問サイトで、レストアの錆についてよく見かける相談を要約して紹介します。

相談1「錆止めの防錆剤は、どれがいちばん効くのか」

錆でボディの一部が崩れ、直すのに苦労したという人からの相談です。二度と同じ思いをしたくないので、いちばん効く防錆剤を知りたいという内容でした。

気持ちはよく分かります。ただ、どの製品がいちばんかは、塗る場所や錆の状態で変わるので、一つに決めにくいんです。

大切なのは、製品の名前より順番です。

錆をしっかり落とし、乾かしてから防錆剤を入れ、水抜き穴をふさがないこと。この順番を守るだけでも、持ちはかなり変わってきます。

相談2「錆転換剤タイプの錆止めは、水分を吸ったりしないのか」

錆に反応するタイプの錆止めを、鉄の部分に塗っても大丈夫かという相談です。『錆の上に塗る物だから、きれいな鉄に塗ったらどうなるの?』という疑問ですね。

こうした薬剤は、製品によって「錆の上に塗る前提」なのか「鉄の上にも塗れる」のかが違います。缶の説明を読んで、使える面を確かめてみてください。

そのうえで、上から塗装して仕上げておくと安心です。

相談3「上塗りまでの時間は、待たないとだめなのか」

錆転換の効果がある錆止めに、上塗りまでの時間が書いてあるけれど、待たないとどうなるのかという相談です。

結論から言うと、表示の時間は待ったほうが無難です。乾ききらないうちに重ねると、しわが出たり、密着が弱くなったりすることがあります。

「今日中に塗り終えたいんだけど」
「それなら、錆止めまでを今日にして、塗装は次の休みにしましょう」

こんなふうに、作業を日を分けて考えると焦らずに済みますよ。

相談4「トランクの底の錆を、どんな順番で直せばいいか」

古い車のトランクルームを、錆を落としてきれいにしたいという相談です。錆の除去から仕上げまで、何をどの順番でやればいいのか分からないという内容でした。

トランクの底は、スペアタイヤの下や角に水がたまりやすい場所です。まずは敷物や荷物を全部出して、錆がどこまで広がっているかを見てみてください。

穴が無ければ、この記事の手順どおりに進められます。角や溶接の継ぎ目のような細かい所は、ワイヤーブラシで落とせる所まで落とし、残った錆には錆転換剤を使う方法があります。

もし底を押してへこむようなら、板金の出番です。無理に削り続けず、先に板金店で診てもらうと遠回りになりません。

錆を出さない保管と、レストア中の車の考え方

ここでの結論

錆を直したあとは、湿気をためない保管が何より大事です。そして、錆の処理や板金は思ったより日数がかかるので、その間の暮らしの車も考えておくと安心です。

せっかく錆を直しても、湿った場所に置きっぱなしだと、また同じ所から錆が出てきます。直したあとの過ごし方まで含めて、レストアの錆対策なんです。

錆を戻さないための習慣
  • 雨のあとは、できれば乾いてからカバーをかける
  • 下回りの泥は早めに洗い流す
  • 窓まわりのゴムの傷みを放っておかない
  • 水抜き穴が詰まっていないかときどき見る

外した部品の保管にも気を配る

レストア中は、ボルトやブラケットなど外した部品がたくさん出てきます。錆を落とした部品を床に置いたままにすると、湿気でまた錆びてしまうことも。

錆止めをしてから、乾いた箱や袋に分けてしまっておきましょう。どこから外した部品かを紙に書いて入れておくと、組み立ての時に迷いません。

錆の作業は日数が読みにくい

錆の処理は、削ってみて初めて範囲が分かることが多い作業です。板金に出すと、思ったより長く車が戻ってこないこともあります。

『その間、通勤や買い物はどうしよう』と悩む方もいるはずです。

錆を直して乗り続けるのは、とても良い選択です。そのうえで、毎日の車は別に用意しておくという考え方もあります。

例えば、旧車は休日の趣味としてじっくり直し、平日の足は月々定額で乗れる新車のカーリースに任せる、という分け方です。気になる方は、次の案内も見てみてください。

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旧車は休日の楽しみに回して、通勤や買い物の車は別に持ちたい。レストアの間の足が要る。直すより新しい車に乗り換えたい。そんな時は、税金や車検代をまとめて月々定額で新車に乗れるカーリースも比べてみてください。契約年数・月額に含まれる物・走行距離・途中でやめる時の条件は、申し込む前に公式の案内で確かめておくと安心です。

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よくある質問

レストアの錆止めは、錆の上から塗っても効きますか?

浮いている錆の上に塗ると、下からはがれてしまうことが多いです。錆止め塗料は、錆を落として地金を出し、脱脂した面に塗るのが基本です。錆を落としきれない所には、錆転換剤を使う方法があります。

錆転換剤を塗れば、錆を落とさなくても大丈夫ですか?

浮いた錆やはがれかけた塗膜は、先に落としておく必要があります。錆転換剤は、薄く残った錆を安定させるための物と考えてください。使える面や上塗りまでの時間は、製品の表示で確かめましょう。

サビ取りは手作業と電動工具のどちらがいいですか?

小さな表面錆なら紙やすりやワイヤーブラシで十分なことが多いです。広い面の浮き錆は電動工具のほうが早く進みます。電動工具は削りすぎに気をつけ、粉じん対策をしてから使ってください。

錆で穴があいた所は、パテでふさいでもいいですか?

穴あきまで進んだ錆は、パテでふさいでも中で錆が進むことが多いです。錆びた部分を切り取り、新しい鉄板を溶接する板金の作業を考えてみてください。

錆の処理に使った塗料やスプレー缶はどう捨てればいいですか?

捨て方は自治体ごとに違います。消費者庁も、スプレー缶は地方公共団体の指示に従ってごみに出すよう呼びかけています。お住まいの自治体の案内を確かめてください。

まとめ

この記事の要点
  • レストアの錆は、表面錆・浮き錆・穴あきの3段階で直し方が変わる
  • サビ取りは手作業・電動工具・錆取り剤・ブラストを、範囲と部品で選ぶ
  • 錆止めは落とした面を守る物、錆転換剤は残った錆を安定させる物
  • 錆の処理は、洗う、落とす、脱脂、錆止め、下地、塗装の順番を守る
  • 穴があいたら板金の出番。足回りやフレームの錆は専門家に診てもらう

錆は、早く見つけて早く手を打つほど、直す手間が少なく済みます。まずはご自分の車の錆がどの段階か、明るい所でじっくり見てみてください。

レストアガイド

レストアガイド 編集部

車・旧車・バイクのレストア(元の姿に戻す再生)について、意味や種類、作業の流れ、費用の考え方、自分でやる時の道具と注意点、ショップの選び方、車検・税金・保険などの手続き、乗り換えや手放し方までを、自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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