レストアの全塗装(オールペン)|色替えの手続きと仕上がり

レストアの全塗装と色替えの考え方を紹介する記事のアイキャッチ。塗装ブースで塗り直し中の古い車

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色あせた旧車のボディを見ていると、『いっそ全部塗り直したい』と思いますよね。せっかくなら好きな色に変えたい、という方も多いはずです。

結論から言うと、レストアの全塗装は「部分補修」「同色全塗装」「色替え全塗装」のどれにするかで、作業の範囲も手続きの考え方も変わります。

この記事では、3つの違いと、仕上がりに差が出る所、塗ったあとの手入れまでお伝えしますね。

目次

全塗装(オールペン)は3つに分けて考える

先に結論

塗装の直し方は「傷んだ所だけ塗る部分補修」「今と同じ色で全体を塗る同色全塗装」「別の色に塗り替える色替え全塗装」の3つです。色替えは、ドアの内側やエンジンルームまで塗るかどうかで、手間が大きく変わります。

全塗装は、ボディ全体を塗り直すことで、オールペンとも呼ばれます。ただ、ひと口に全塗装といっても、どこまで塗るかは頼み方しだいなんです。

まずは、3つの塗り方を比べてみました。

比べる点部分補修同色全塗装色替え全塗装
塗る範囲傷んだパネルや、その周りだけ外から見えるボディ全体外側に加え、ドアの内側やエンジンルームなども考える
向いている場面錆やへこみが一部だけ色あせや細かい傷が全体にある色を変えたい、元の色に戻したい
手間の目安小さい大きいいちばん大きい
気をつけたいこと周りとの色の差が出ることがある部品を外す範囲で仕上がりが変わる内側に元の色が残ると目立つ
手続きの考え方特に変わらない特に変わらない運輸支局に確かめておくと安心
塗装の直し方を部分補修・同色全塗装・色替え全塗装の3つに分け、塗る範囲と注意点を並べた図解

レストアの全塗装は「下地」で決まる

レストアの塗装でいちばん大事なのは、色を塗る前の下地です。錆やへこみを残したまま塗っても、すぐに浮きや錆が出てきてしまいます。

ですから、全塗装の前には、錆の処理や板金をひととおり済ませるのがふつうです。ボディの直し方は、ボディのレストア|板金と錆の直し方の基本で紹介しています。

部分補修で十分なこともある

『全塗装しないとダメかな』と思っても、傷みが一部だけなら部分補修で済むこともあります。古い塗装の味わいを残したい、という考え方もありますよね。

迷ったら、塗装店に「部分で直した場合と全部塗った場合、仕上がりはどう違いますか」と聞いてみてください。

何色にするかで迷ったら

全塗装の色は、大きく分けて3つの考え方があります。

考え方良い所気をつけたいこと
今と同じ色内側に塗り残しがあっても目立ちにくい色あせ前の色に合わせる調色が要る
その車が出た当時の色当時の雰囲気に近づけられる色の情報を調べる手間がかかる
好きな別の色自分だけの1台になる内側まで塗るかで手間が大きく変わる

当時の姿に近づけたいのか、自分らしい色で楽しみたいのか。どちらも正解なので、先に決めておくと塗装店との話がスムーズです。

色を変える時の手続きはどう考える?

ここでの結論

国土交通省の案内では、構造等変更検査が必要な項目に「車体の色」は入っていません。色の変更だけなら、構造等変更の手続きは要しないとされています。不明な点は、管轄の運輸支局に確かめておきましょう。

色替えの全塗装を考えると、『車検証の書き換えは要るの?』と気になりますよね。ここはよく聞かれるところです。

国土交通省の自動車検査登録総合ポータルでは、構造等変更検査が必要な改造として、長さ・幅・高さ・乗車定員・車体の形状・原動機の型式などが挙げられています。この中に、車体の色は含まれていません。

また、自動車技術総合機構の審査事務規程では、届出の書類にある「車体の塗色」の欄は、記載が任意とされています。

塗装で変わること手続きの考え方確かめ先
同じ色で塗り直す手続きの話は出にくい特になし
別の色に塗り替える色の変更だけで構造等変更は要しないとされる不明点は管轄の運輸支局
塗装と一緒にエアロや部品を付ける寸法などが変われば構造等変更が要ることがある運輸支局、整備工場

色と一緒に形を変える時は別の話

全塗装と一緒に、エアロパーツを付けたり、車高を変えたりすることもありますよね。この場合は、色ではなく寸法の変化で手続きが要ることがあります。

国土交通省の案内では、部品を付けても長さ・幅・高さ・車両重量の変化が一定の範囲に収まれば、構造等変更の手続きは要らないとされています。くわしくはレストアと改造・構造変更|手続きが必要になる場合で紹介しています。

保険や書類の控えも見直しておく

色を変えたら、任意保険の契約内容に関わるかどうかを、保険会社に聞いておくと安心です。売る時や点検の時のために、塗装の記録や写真も残しておきましょう。

「色を変えたら、どこかに届けないといけませんか?」
「色だけなら手続きは要らないとされていますが、心配なら運輸支局に電話で聞いてみると早いですよ」

全塗装の作業はどう進む?

ここでの結論

全塗装は「分解、塗装はがしや足付け、錆と板金の処理、下地、色、クリア、磨き、組み付け」の順で進むのが一般的です。古い塗装を全部はがすか、上から塗るかで、手間と仕上がりが変わります。

全塗装は、色を吹き付けるところだけが作業ではありません。実は、塗る前の準備にいちばん時間がかかるんです。

全塗装の流れ
  1. ライトやモール、ドアノブなどの部品を外す
  2. 古い塗装をはがす、または表面を研いで足付けをする
  3. 錆やへこみを直し、パテで表面をならす
  4. 下地の塗料を塗り、平らに研ぐ
  5. 色を塗り、上からクリアを重ねる
  6. 乾いたら磨いて仕上げ、部品を組み付ける
全塗装の作業を、部品の取り外しから組み付けまでの順番で並べた図解

全剥離と、上から塗る方法の違い

古い塗装をすべてはがしてから塗る方法は、全剥離塗装と呼ばれます。隠れた錆や以前の修理の跡まで見つけられるのが良い所です。

一方、今の塗装を研いで足付けし、その上から塗る方法もあります。こちらは手間が少ないぶん、下に隠れた傷みは残ったままになります。

全剥離してから塗る
  • 隠れた錆や腐りを見つけて直せる
  • 古い塗膜の厚みがリセットされる
  • 長く乗るつもりの旧車に向く
上から塗る
  • 手間と期間を抑えやすい
  • 下の錆や修理跡は残ることがある
  • 古い塗装の傷みが後から出ることも

部品をどこまで外すかで差が出る

モールやゴム、ガラスを外さずにマスキングだけで塗ると、縁に塗り分けの線が出ることがあります。外して塗れば、すき間まできれいに仕上がりやすいんです。

ただ、古い車はゴム部品が硬くなっていて、外すと再使用できないこともあります。外す部品と交換する部品を、先に相談しておきましょう。

全塗装の期間が延びやすい理由

全塗装は、乾かす時間や部品待ちがあるので、まとまった日数がかかります。塗装をはがしてから錆が見つかり、板金が増えて延びることもよくあります。

外したゴム部品やモールが古くて使えず、新しい部品を探すうちに時間がかかる、ということも。期間の見通しは、余裕を持って聞いておきましょう。

仕上がりに差が出る所と、全塗装車を買う時の見方

ここでの結論

全塗装の仕上がりは、ドアの内側・エンジンルーム・トランクの中・ゴムまわりで差が出ます。全塗装された車を買う時も、まずこうした所を見てみると、作業の丁寧さが分かります。

ここが大事なところです。

外から見た色がきれいでも、ドアを開けると元の色が見える、ということがあります。色替えの全塗装では、特に目立ちやすいんです。

見る所丁寧な仕上がりの例気になる仕上がりの例
ドアの内側・ステップ外と同じ色で、ムラがない元の色が残っている
エンジンルーム・トランクの中塗る範囲が見積もりどおり境目がはっきり見える
ゴム・モールのまわり塗料がのっていないゴムに塗料が付いている
ボディの面映り込みがまっすぐ細かいぶつぶつや垂れがある

部分補修は色合わせが腕の見せ所

部分補修では、周りの古い塗装と色を合わせる作業が欠かせません。長い年月で色あせた塗装に合わせるので、新車の色そのままでは合わないことが多いんです。

仕上がりが気になる時は、隣のパネルとの境目をぼかして塗る方法もあります。どこまでぼかすかを、塗装店に相談してみてください。

全塗装した車を買う前のチェック

中古の旧車には、全塗装された車も少なくありません。『きれいだけど、中はどうなっているの?』と気になりますよね。

全塗装車を買う前に見たいこと
  • いつ、どこで、どんな方法で塗ったかの記録があるか
  • 全剥離か、上から塗ったのか
  • ドアの内側やトランクの中まで塗ってあるか
  • 塗装の下に錆が浮いてきている所はないか
  • 色替えなら、元の色が分かる所が残っていないか

売り手に聞く時は、こんなふうに聞いてみるとスムーズです。

「この全塗装は、塗装をはがしてから塗っていますか?」
「下地からやり直していて、作業の写真もありますよ」

こう答えてもらえれば、作業の中身がかなり見えてきます。レストア済みの車の見方は、レストア済みの車とは|買う前に確かめたいことでも紹介しています。

全塗装しても新車のようには見えないことがある

全塗装した車が、新車のようには見えないと感じる人もいます。ゴムやモール、ライト、内装など、塗装以外の部品が古いままだと、全体の印象は新しくなりきらないんです。

全体の雰囲気を整えたいなら、ゴム部品やめっき部品もあわせて考えてみてください。

塗ったあとの仕上げと手入れ

ここでの結論

全塗装のあとは、仕上げ(フィニッシュ)の磨きと、日ごろの手入れで持ちが変わります。磨きやコーティングの使い方は、製品の説明を守り、少しずつ進めるのが基本です。

塗り終わったあとも、レストアの塗装はまだ終わりではありません。仕上げの磨きと手入れで、つやの持ちが変わってくるんです。

仕上げ(フィニッシュ)の磨きとコーティングの使い方

レストアの仕上げ(フィニッシュ)に使う磨き剤やコーティング剤は、使い方を守ることがいちばん大切です。一般的な使い方の流れを紹介しますね。

仕上げの磨きとコーティングの使い方
  1. 塗装が十分に乾いたかを、塗装店や製品の説明で確かめる
  2. 洗車して砂やほこりを落とし、よく乾かす
  3. 目立たない所で、磨き剤やコーティング剤を試す
  4. 柔らかい布で、小さな範囲ずつ薄く塗り広げる
  5. 説明にある時間をおいてから、ふき取る

塗ったばかりの塗装は、まだやわらかいことがあります。いつから磨いていいか、いつからコーティングしていいかは、塗装をした店に聞いてみてください。

よくある失敗

一度に広い範囲を塗って、ふき取りが間に合わずムラになることがあります。直射日光の下や、ボディが熱い時の作業も避けておきましょう。

磨きとコーティングの役割の違い

仕上げに使う物は、役割で分けると選びやすくなります。

種類主な役割使う場面
磨き剤(コンパウンド)表面の細かい傷やくもりを削ってならす塗装後の肌の調整、小さな傷
つや出し(ワックスなど)つやを出し、表面を守る洗車のあとの手入れ
コーティング剤塗装の表面に膜を作って守る仕上げのあと、長くつやを保ちたい時

磨き剤は塗装を少しずつ削る物なので、やりすぎは禁物です。とくに角や縁は塗膜が薄くなりやすいので、軽めにしておきましょう。

塗装を長持ちさせる日ごろの手入れ

せっかくの全塗装も、雨ざらしで放っておくと、色あせや錆が早く出てきます。

塗装を守る習慣
  • 鳥のふんや樹液は、見つけたら早めに落とす
  • 雨のあとは、乾いてからカバーをかける
  • 下回りやタイヤハウスの泥を洗い流す
  • 小さな傷は、錆が出る前に手を入れる

自分で塗る時は安全と近所への気配りを

自分で塗装する場合、塗料やスプレーには燃えやすい成分が入っています。消費者庁も、スプレー缶は十分に換気し、火気の近くで使わないよう呼びかけています。

大気汚染防止法でも、日常生活で揮発性の成分を出さないように努めることが定められています。塗料の飛び散りやにおいで、近所に迷惑をかけないようにも気を配りたいですね。

使い終わったスプレー缶や残った塗料は、消費者庁も地方公共団体の指示に従って出すよう呼びかけています。

捨て方は自治体ごとに違うので、お住まいの地域の案内を見ておきましょう。作業場所の選び方はレストアの作業場所で紹介しています。

塗装中の車の足をどうするか

全塗装は、部品の取り外しから乾燥まで、まとまった日数がかかります。その間、車が手元に無いことも考えておきましょう。

『塗装の間、毎日の買い物はどうしよう』と悩む方もいるはずです。旧車は休日の趣味として仕上げ、毎日の足は月々定額で乗れる新車のカーリースに任せる、という分け方もあります。

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毎日乗る車は、月々定額のカーリースという選択肢も

旧車は休日の楽しみに回して、通勤や買い物の車は別に持ちたい。レストアの間の足が要る。直すより新しい車に乗り換えたい。そんな時は、税金や車検代をまとめて月々定額で新車に乗れるカーリースも比べてみてください。契約年数・月額に含まれる物・走行距離・途中でやめる時の条件は、申し込む前に公式の案内で確かめておくと安心です。

無料定額カーリースを見てみる

料金・契約条件は公式サイトの最新の案内でご確認ください。

カーリースは途中でやめにくい契約が多いので、契約年数や走行距離の条件はよく確かめてから考えてみてください。

全塗装でよくある相談

この章について

ネットの質問サイトで、レストアの全塗装についてよく見かける相談を要約して紹介します。

相談1「全塗装の費用は、どのくらいかかるのか」

いちばん多いのが、全塗装の費用を知りたいという相談です。車の大きさや色を伝えて、目安を聞く人がたくさんいます。

ただ、全塗装の費用は、塗る範囲、下地の傷み、部品をどこまで外すかで大きく変わります。同じ車でも、店によって見積もりの中身がかなり違うんです。

費用の考え方や予算の立て方は、車のレストア費用|作業別の考え方と予算の立て方で紹介しています。見積もりは、塗る範囲をそろえて比べてみてください。

相談2「軽自動車を別の色に変えたい。外側だけなら目安は?」

今の色から、まったく違う色に変えたいという相談です。外側だけの塗装で済ませたいという気持ちも書かれていました。

外側だけの色替えだと、ドアを開けた時などに元の色が見えます。それで気にならないかどうかを、先に考えておくのがおすすめです。

「外だけでいいと思っていたけど、ドアを開けると前の色が見えるんですね」
「はい。気になるなら、ドアの内側まで塗る範囲に入れておきましょう」

相談3「全剥離して塗り直したいが、どこまでやるべきか」

長く乗りたいので、古い塗装を全部はがして錆を直し、塗り直したいという相談です。

長く乗るつもりなら、全剥離は良い選択です。

はがしてみると錆や以前の修理の跡が見つかることが多いので、錆の処理と板金も一緒に考えておきましょう。錆の直し方は車の錆(サビ)のレストアで紹介しています。

相談4「全塗装してある古めのクロカン車を買う時の注意点は?」

全塗装された少し古い四輪駆動車が気になっているけれど、買う時に何を見ればいいか知りたいという相談です。

全塗装車を見る時は、この記事の「全塗装車を買う前のチェック」が役に立ちます。とくに四輪駆動車は下回りに泥がたまりやすいので、ボディの下側や足回りの錆も見ておきましょう。

外側がきれいでも、下回りが錆びていることもあるんです。クロカン車ならではの見方は、ランクル・ジムニーなどクロカン4WDのレストアで紹介しています。

よくある質問

全塗装で色を変えたら、車検証の手続きは要りますか?

国土交通省の案内では、構造等変更検査が必要な項目に車体の色は入っていません。色の変更だけなら構造等変更の手続きは要しないとされていますが、不明な点は管轄の運輸支局に確かめてください。

レストアの塗装は、古い塗装をはがしてから塗るべきですか?

長く乗るつもりなら、はがしてから塗ると隠れた錆まで直せます。手間と期間を抑えたい時は、今の塗装を研いで上から塗る方法もあります。目的に合わせて塗装店と相談してみてください。

全塗装のあと、いつから磨いたりコーティングしたりできますか?

塗料や乾かし方によって違います。塗ったばかりの塗装はやわらかいことがあるので、塗装をした店に時期を聞いてから始めるのが安心です。

部分補修と全塗装は、どちらを選べばいいですか?

傷みが一部だけで、古い塗装の味わいを残したいなら部分補修が向いています。色あせや細かい傷が全体に広がっている時や、色を変えたい時は全塗装を考えてみてください。

全塗装された中古の旧車を買う時、どこを見ればいいですか?

ドアの内側、エンジンルーム、トランクの中、ゴムまわりを見てみてください。いつ、どんな方法で塗ったかの記録や写真があるかも聞いておくと安心です。

まとめ

この記事の要点
  • 塗装の直し方は、部分補修・同色全塗装・色替え全塗装の3つ
  • 色の変更だけなら構造等変更は要しないとされる。不明点は運輸支局へ
  • 全塗装の出来は、下地づくりと部品の外し方で決まる
  • 仕上がりはドアの内側やエンジンルームなどで差が出る
  • 仕上げの磨きやコーティングは、説明を守って小さな範囲ずつ

全塗装は、旧車の印象をがらりと変えられる作業です。まずは、どこまで塗りたいか、何色にしたいかを紙に書き出すところから始めてみてください。

レストアガイド

レストアガイド 編集部

車・旧車・バイクのレストア(元の姿に戻す再生)について、意味や種類、作業の流れ、費用の考え方、自分でやる時の道具と注意点、ショップの選び方、車検・税金・保険などの手続き、乗り換えや手放し方までを、自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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