ボディのレストア|板金と錆の直し方の基本

ボディのレストアと板金の基本を紹介する記事のアイキャッチ。塗装をはがした古い車のボディと板金の道具

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旧車のボディを見て、へこみや錆、床の穴まで見つかると、『これは直るんだろうか』と心配になりますよね。どこから手をつければいいのか、迷う方も多いはずです。

結論から言うと、ボディのレストアは傷みを「へこみ」「錆」「腐り(穴)」に分けると、直し方と頼み先が見えてきます。

この記事では、板金・切り継ぎ・パネル交換の違いと、板金店に頼む前に決めておきたいことをお伝えしますね。

目次

ボディのレストアは傷みの種類で直し方が変わる

先に結論

ボディの傷みは「へこみ」「錆」「腐り(穴)」の3つに分けて考えます。へこみは叩いて戻す板金、錆は削って処理、腐りは切り取って新しい鉄板をつなぐ作業が中心です。

ボディのレストアといっても、やることは傷みによってかなり違います。同じ車でも、ドアはへこみだけ、床は穴があいている、ということもよくあるんです。

まずは、傷みの種類ごとに直し方を比べてみました。

傷みの種類よくある見た目主な直し方手間の目安
へこみぶつけた跡、えくぼのような小さなへこみ裏から叩く・引き出す板金で形を戻す範囲が狭ければ比較的軽い
錆塗装の下のふくらみ、縁の茶色い錆錆を削り、錆止めをして塗り直す削ってみて範囲が決まる
腐り(穴)押すとへこむ、穴があく、鉄板がぼろぼろ腐った所を切り取り、新しい鉄板を溶接する大きく、時間もかかりやすい
ボディの傷みをへこみ・錆・腐りの3つに分け、それぞれの直し方を並べた図解

1台のボディに3つが混ざっていることが多い

長く乗ってきた旧車のボディは、へこみと錆と腐りが混ざっているのがふつうです。ですから、見積もりも「どこに、どの直し方をするか」の組み合わせで出てきます。

例えば、ドアの小さなへこみは板金で戻し、フェンダーの縁の錆は削って処理し、床の穴は切り継ぎで直す。こんなふうに、場所ごとに作業が分かれるイメージです。

まずは傷みを書き出してみよう

見積もりを取る前に、自分でも車のまわりを一周して、気になる所をメモしておくと話が早くなります。スマホで写真を撮っておくのもおすすめです。

ボディを見る時のチェック
  • ドアやフェンダーに、光の映り込みがゆがむ所はないか
  • 塗装がふくらんだり、はがれたりしている所はないか
  • 床やトランクの底を押して、へこむ所はないか
  • ドアの開け閉めが重い、すき間がそろっていない所はないか
  • 以前の修理で、色が少し違って見えるパネルはないか

ドアのすき間がそろっていない時は、ぶつけた跡や骨格の歪みが隠れていることもあります。気になったら、板金店に伝えておきましょう。

錆の段階の見分け方

錆がどこまで進んでいるかで、錆の処理で済むのか、切り取りが要るのかが変わります。表面錆・浮き錆・穴あきの見分け方は、車の錆(サビ)のレストア|錆取り・錆止め・錆転換剤の使い分けでくわしく紹介しています。

板金・切り継ぎ・パネル交換はどう違う?

ここでの結論

板金は今ある鉄板の形を戻す作業、切り継ぎは傷んだ所だけ新しい鉄板に替える作業、パネル交換は部品ごと替える作業です。元の鉄板をどれだけ残すかが違います。

レストアの板金について調べていると、「切り継ぎ」「パネル交換」という言葉も出てきますよね。『どれを頼めばいいの?』と迷うのは自然なことです。

違いは、元の鉄板をどこまで残すかにあります。

直し方やること元の鉄板向いている場面
板金(叩き出し・引き出し)へこんだ鉄板を叩いたり引いたりして形を戻すほぼ全部残すへこみ、歪み
切り継ぎ腐った所だけを切り取り、形を合わせた鉄板を溶接する傷んだ所以外は残す部分的な腐り、穴あき
パネル交換フェンダーやドアの外板などを部品ごと新しい物に替えるその部品は替わる傷みが広い、部品が手に入る
元の鉄板を残す直し方(板金・切り継ぎ)
  • 当時の部品をできるだけ残せる
  • 部品が手に入らなくても直せる
  • 腕のいい職人なら仕上がりが自然
気をつけたいこと
  • 手作業が多く、時間がかかりやすい
  • 腐りが広いと、つぎはぎが増える
  • 仕上がりが職人の腕に左右される

板金で戻しやすいへこみ、戻しにくいへこみ

板金で戻しやすいのは、広い面のゆるやかなへこみです。鉄板が伸びきっていなければ、裏から叩いて形を戻していけます。

一方、角や折れ目にかかったへこみ、何度も修理された所は、戻しにくいことがあります。こうした所は、切り継ぎやパネル交換も含めて考えることになります。

『小さいへこみだから、すぐ終わるよね』と思いがちですが、場所によって手間はかなり違うんです。

レストアで使う鉄板のこと

切り継ぎでは、補修用の鉄板を切り出し、叩いたり曲げたりして元の形に合わせます。床やフェンダーの縁のように、曲線が多い所ほど手間がかかります。

レストアの鉄板は、厚みを元の鉄板に近づけるのが基本です。薄すぎると強さが足りず、厚すぎると溶接で歪みやすくなるからです。

部品が手に入るならパネル交換も選べる

車種によっては、メーカーが古い車の部品を再び作って販売していることがあります。例えば、マツダは初代ロードスター向けに部品の復刻やレストアサービスを行っています。

部品が手に入るかどうかで、切り継ぎとパネル交換のどちらが現実的かが変わります。メーカーの取り組みはメーカーの旧車部品の再販・レストアサービスで紹介しています。

「歴史的な姿」を大切にする考え方もある

歴史的な車の保存に取り組む国際団体のFIVAは、レストアの原則を「必要なだけ手を入れ、できるだけ少なく」としています。当時の素材や技法をなるべく使うことも大事にされています。

もちろん、毎日乗る車なら、強さや錆びにくさを優先する考え方もあります。どちらを大切にしたいかを、先に決めておくと頼みやすくなりますよ。

ボディのレストアはどんな順番で進む?

ここでの結論

ボディのレストアは「診断、分解、塗装はがし、錆と腐りの処理、板金、下地、塗装、組み立て」の順で進むのが一般的です。塗装をはがしてみて、初めて本当の傷みが分かることも多いんです。

旧車のボディレストアは、外から見えている所だけを直す作業ではありません。全体の流れを知っておくと、見積もりや期間の話も分かりやすくなります。

ボディレストアの流れ
  1. 傷みの場所と範囲を診てもらう
  2. 内装や外装の部品、ガラスなどを外す
  3. 塗装をはがし、鉄板の状態を確かめる
  4. 錆を落とし、腐った所を切り取る
  5. 鉄板をつなぎ、へこみを板金で戻す
  6. 下地を作り、塗装して仕上げる
  7. 外した部品を組み付ける
ボディのレストアを、診断から組み立てまでの順番で並べた図解

塗装をはがすと追加が出やすい

ここが大事なところです。古い車は、以前の修理でパテが厚く盛られていたり、錆が隠れていたりすることがあります。

塗装をはがしてから見積もりが増える、という話がよくあるのはこのためです。最初の見積もりの時点で「はがしてから増えたらどうするか」を話しておきましょう。

パテは薄く使うのが基本

板金で形を戻したあと、細かい凹凸をならすためにパテを使います。ただ、パテは厚く盛るほど、あとでひびや浮きが出やすくなります。

ですから、板金でできるだけ形を戻してから、パテは薄く仕上げに使うのが基本です。見積もりの時に「パテはどのくらい使う予定ですか」と聞いてみるのも一つの手ですね。

全塗装をするかどうかも、この段階で決まる

ボディの板金をすると、直した所を塗り直すことになります。部分だけ塗るか、全体を塗り直すかで、仕上がりも期間も変わります。

色替えも含めた考え方は、全塗装(オールペン)とレストア|色替えの手続きと仕上がりの違いで紹介しています。

自分でできる所と、板金店に頼む所

ここでの結論

小さなへこみや表面錆なら、自分でレストアする人もいます。一方、溶接が要る切り継ぎや、骨格に関わる所は、設備と経験のある板金店に頼むのが安心です。

『板金を自分でやってみたい』という方もいるはずです。ボディの作業は、範囲によって自分でできるかどうかがはっきり分かれます。

作業自分でやるなら頼むなら
表面錆の処理取り組みやすい塗装店・板金店
小さなへこみの板金道具と練習があればできる板金店
腐った所の切り継ぎ(溶接)溶接の技術と設備が要る板金店、レストアを扱う店
フレームや足回りの取り付け部自分では判断しにくい板金店や整備工場
ボディ全体の塗装はがし時間と場所が要る板金店、ブラストを扱う業者
走る安全に関わる所は無理をしない

フレームや足回りの取り付け部は、走る安全に直結する場所です。錆や腐りが見つかったら、自信が無ければ板金店や整備工場で診てもらってください。

最初に挑戦するならこんな所から

自分でボディのレストアを始めるなら、外して作業台に置ける部品から始めると失敗しても取り返しがつきます。

練習に向く所理由
外せる小物(ブラケット、ステーなど)作業台で落ち着いて錆の処理ができる
ボンネットやトランクの裏側目立ちにくく、失敗してもやり直しやすい
フェンダーの小さなへこみ板金の感覚をつかみやすい

慣れてきたら、少しずつ範囲を広げていきましょう。

溶接と研磨は安全の準備から

溶接や研磨では、細かい粉や煙が出ます。仕事として行う現場では、粉じん障害防止規則や、溶接ヒュームの規制で、換気や保護具などの対策が決められています。

自分で作業する場合も、換気、保護めがね、マスク、手袋、まわりに燃えやすい物を置かないこと。この準備はしておきましょう。

部品取り車から鉄板を切り出す時の注意

鉄板や部品を、別の古い車から取ろうと考える方もいます。ただ、環境省の案内では、使用済自動車から部品などを取り外すには、個人で行う場合でも都道府県知事等から解体業の許可が要るとされています。

部品取りを考えている時は、まずこの点を確かめてみてください。

板金店に頼む前に決めておきたいこと

ここでの結論

ボディのレストアは、作業の途中で範囲や期間が変わりやすい仕事です。見積もりの範囲、追加が出た時の連絡、期間の見通しを、書面で決めておくとトラブルを防げます。

旧車のボディを任せられるお店を探すのは、なかなか大変ですよね。腕の良さはもちろん、話がしっかり通じるかどうかも大事なんです。

頼む前に話しておきたいこと
  • どこを、どの直し方で直すか(板金・切り継ぎ・パネル交換)
  • 塗装をはがして追加が出た時、どう連絡して決めるか
  • 作業の期間の見通しと、遅れる時の連絡のしかた
  • 途中の様子を写真で見せてもらえるか
  • 見積もりと約束を書面でもらえるか

例えば、こんなふうに聞いてみるとスムーズです。

「はがしてみて腐りが広かった場合は、作業を止めて連絡をもらえますか?」
「はい、写真を送りますので、その時に範囲を決めましょう」

こう答えてもらえれば、途中で話がこじれることはぐっと減ります。お店の選び方はレストアショップ・専門店の選び方でくわしく紹介しています。

見積もりはここを見る

ボディのレストアの見積もりは、店によって書き方がかなり違います。金額の合計だけでなく、何が入っていて何が入っていないかを見てみてください。

見積もりの項目確かめたいこと
板金・切り継ぎの範囲どのパネルの、どのあたりまでか
塗装の範囲直した所だけか、パネル全体か、車全体か
部品代新品、中古、作り直しのどれを使う予定か
外す部品と組み付けガラスやモールの脱着が入っているか
追加の扱いはがしてから増えた分をどう決めるか

見積もりの取り方や準備は、レストアの見積もりの取り方でくわしく紹介しています。

期間は長めに見ておく

ボディのレストアは、部品待ちやほかの作業との順番で、予定より長くなることがあります。車が戻ってこない間の暮らしも、先に考えておくと安心です。

『その間、通勤や買い物はどうしよう』と思う方もいるはずです。旧車は趣味の車としてじっくり直し、毎日の足は月々定額で乗れる新車のカーリースに任せる、という分け方もあります。

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毎日乗る車は、月々定額のカーリースという選択肢も

旧車は休日の楽しみに回して、通勤や買い物の車は別に持ちたい。レストアの間の足が要る。直すより新しい車に乗り換えたい。そんな時は、税金や車検代をまとめて月々定額で新車に乗れるカーリースも比べてみてください。契約年数・月額に含まれる物・走行距離・途中でやめる時の条件は、申し込む前に公式の案内で確かめておくと安心です。

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料金・契約条件は公式サイトの最新の案内でご確認ください。

カーリースは途中でやめにくい契約が多いので、契約年数や走行距離の条件はよく確かめてから考えてみてください。もちろん、直して乗り続ける道も十分に良い選択です。

ボディのレストアでよくある相談

この章について

ネットの質問サイトで、ボディのレストアや板金についてよく見かける相談を要約して紹介します。

相談1「レストアの板金で、お店とトラブルになっている」

旧車のレストアを板金店に頼んだところ、作業の進み具合や内容をめぐって話がこじれてしまった、という相談です。とても多くの人に読まれている相談で、同じ悩みを持つ方の多さが分かります。

約束した期間を大きく過ぎても下地が終わらない、という相談もありました。『最初にもっと決めておけば』と後から思う方が多いんです。

こうしたトラブルの多くは、範囲と期間と追加の決め方が、口約束のままだったことから始まります。この記事の「頼む前に決めておきたいこと」を、書面に残しておくのがいちばんの予防です。

すでにこじれてしまった時は、これまでのやり取りや写真を時系列でまとめてから、落ち着いて話し合ってみてください。くわしくはレストア依頼のトラブルを防ぐで紹介しています。

相談2「腐った所をハンダで直してもいいのか」

ボディの腐った部分を切り取り、ハンダ付けで直そうと考えているという相談です。溶接の道具が無いので、手持ちの道具でなんとかしたいという気持ちですね。

ハンダは、仕上げの形を整える目的で使われることもあります。ただ、腐った所の強さを戻したいなら、切り取って新しい鉄板を溶接するのが一般的です。

床やフレームに近い所なら、なおさらです。溶接が難しい場合は、切り継ぎだけ板金店に頼む方法も考えてみてください。

相談3「機械の知識はあるけれど、ボディは素人でもできるか」

整備の知識は多少あるけれど、ボディの作業はやったことがない、という人からの相談です。

結論から言うと、小さなへこみや表面錆から始めれば、少しずつ腕を上げていけます。いきなり車1台のボディを全部やろうとすると、時間も場所も足りなくなりがちです。

まずはドア1枚やフェンダー1枚など、範囲を決めて挑戦してみてください。

「どこまで自分でやって、どこから頼めばいいですか?」
「錆の処理と小さなへこみは自分で、溶接と塗装はお店に、という分け方をする人も多いですよ」

作業を分けて頼むと、店によっては受けてもらいにくいこともあります。先に相談しておくと安心です。

相談4「腕の良さそうな板金店がなかなか見つからない」

愛車の錆が目立ってきたのでボディを直したいけれど、旧車を任せられそうな店が見つからない、という相談です。長く探していた車をやっと手に入れたけれど、傷みが大きいという声もありました。

近くに旧車を扱う店が無い時は、少し遠くても旧車の板金を手がけている店に相談してみる方法があります。これまでに直した車の写真を見せてもらえるかどうかも、店を選ぶ手がかりになりますよ。

離れた店に頼む時の考え方は、旧車レストアの店を地域で探すで紹介しています。

よくある質問

ボディのレストアは、どこから手をつければいいですか?

まずは傷みを、へこみ・錆・腐り(穴)に分けて書き出してみてください。走る安全に関わる床やフレームまわりの腐りを先に診てもらい、見た目の板金や塗装はそのあとに考えるのがおすすめです。

板金と切り継ぎの違いは何ですか?

板金は、へこんだ鉄板を叩いたり引いたりして形を戻す作業です。切り継ぎは、腐った所を切り取り、形を合わせた新しい鉄板を溶接する作業です。元の鉄板をどこまで残すかが違います。

旧車のボディのレストアで、見積もりが増えることはありますか?

あります。塗装をはがすと、隠れていた錆や以前の修理の跡が見つかることが多いからです。追加が出た時の連絡と決め方を、最初に書面で決めておきましょう。

レストアに使う鉄板は、どんな物を選べばいいですか?

元の鉄板に近い厚みの物を選ぶのが基本です。薄すぎると強さが足りず、厚すぎると溶接で歪みやすくなります。迷ったら、作業を頼む板金店に相談してみてください。

自分で溶接してボディを直してもいいですか?

自分の車を自分で直す人もいます。ただ、溶接には技術と設備が要り、煙や粉じん、火の対策も欠かせません。骨格や足回りに関わる所は、板金店や整備工場で診てもらうのが安心です。

まとめ

この記事の要点
  • ボディの傷みは、へこみ・錆・腐り(穴)に分けると直し方が見える
  • 板金は形を戻す、切り継ぎは傷んだ所だけ替える、パネル交換は部品ごと替える
  • 塗装をはがしてから追加が出やすいので、決め方を先に話しておく
  • 溶接や骨格に関わる所は、設備と経験のある板金店に頼むのが安心
  • 範囲、期間、追加の連絡を書面で決めておくとトラブルを防げる

ボディは車の土台です。まずは明るい所で傷みを書き出して、どこを、どう直したいかを考えるところから始めてみてください。

レストアガイド

レストアガイド 編集部

車・旧車・バイクのレストア(元の姿に戻す再生)について、意味や種類、作業の流れ、費用の考え方、自分でやる時の道具と注意点、ショップの選び方、車検・税金・保険などの手続き、乗り換えや手放し方までを、自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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